AEDを導入する前に考えること

家庭用AEDを購入する前に知っておきたいこと。

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AEDが普及してきた近年では、家庭用のAEDを検討している人もいることでしょう。

しかし、家庭にAEDを配置することは、専門家からはあまり推奨されていません。

その理由と、それでも家庭用AEDがあったほうが良い場合とをそれぞれ解説してみました。

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心停止の60%は自宅で起こっているが・・・

心停止の60%は自宅で起こっていると言われています。

それならば、自宅へのAED設置を進めるべきだ!となるわけですが、そう単純には行きません。

というのも、自宅での心肺停止の救命率は決して高くはないという事実があります。

自宅での心停止は、同居者が不在か、いても睡眠中や入浴中などでは目撃されないことが多く、また、その同居者がしばしば高齢で、迅速適切な処置を取れないなど救助を得られにくいこと、などが、AEDが有効に機能しにくい原因と考えられる。

AEDの具体的設置・配置基準に関する提言/日本心臓財団

心肺蘇生は目撃者がいなければ、行いようがありません。

  • 同居者が不在で目撃されない
  • 同居者が睡眠中や入浴中で目撃されない
  • 同居者が高齢などで、適切に対応できない

こうしたことが要因となって、自宅での救命率は低いようです。

AED設置のガイドラインの一つである「AEDの具体的設置・配置基準に関する提言」でも、上記のように自宅へのAED設置を積極的には勧めていません。

心疾患には根本的な治療が必要

家庭用のAEDを検討されているのは、ご家族かご自身の心臓に不安がある場合が多いと思います。

しかし、前述したように心停止が目撃されなければ、AEDも使用できません。

心臓に問題がある場合には、AEDで備えるのではなく、根本的な治療が必要になります。

心臓疾患の医学的な治療法

狭心症などの心臓疾患には、下記のような医学的な予防や治療を行うことが肝心です。

  • 薬物治療
    ニトログリセリンなどで狭心症の発作を鎮める薬と、病気の進行や再発を予防する薬を服用
  • カテーテル治療
    細い管を血管に通して、狭まっている部分を広げる比較的簡単な手術
  • 心臓バイパス手術
    狭まっている血管を迂回する血流路を作るために血管を移植する外科手術

治療法は疾患の程度や本人の体力などによっても変わってきます。

また、AEDではなくICDやWCDが治療の一環として使用されることもあります。

ICD(植え込み型除細動器)は「Implantable Cardioverter Defibrillator」の略で、体内に植え込む形の除細動器です。心停止が起こりうる心臓疾患の治療の一環として、手術によって体内に植え込みます。不整脈を自動的に感知して、ペーシングや場合によっては除細動を行います。

WCD(着用型自動除細動器)は「Wearable Cardiac Defibrillator」の略で、ベストと一体型の除細動器です。着衣することでICDと同様に不整脈を自動的に感知して、生命に関わる場合には自動的に除細動を行います。主にICDの植込み手術までの期間に着用されるようです。

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いずれにしろ、心臓に不安を抱える方は主治医に相談して、適切な助言をもらうのが一番です。

マンションなどの集合住宅ではAEDは有効

「AEDの具体的設置・配置基準に関する提言」では、自宅でのAED設置は推奨されていませんが、「マンションなどの集合住宅では有効という研究がある」と指摘しています。

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一戸建ての住宅の場合には目撃される可能性が低いですが、集合住宅では1台あたりでカバーできる人数が増えるということなのでしょう。

マンションの管理組合で購入すれば、金銭的な負担も個人で購入する場合に比べて軽くなるので、この点でも理にかなっています。

医療的過疎地でのAED配備も重要

集合住宅以外にも、病院・消防署から遠く離れている医療的過疎地でも購入を検討してもいいかもしれません。

救急隊が数分以内に駆けつけてくれる街中では無理に家庭用のAEDを設置する必要はありませんが、救急隊の到着に時間がかかる地域では、地域単位で利用できるAEDが設置されていれば安心です。

例えば自治会や防災組織で購入することができれば、自治体や自治総合センターの補助金を利用することができます。個人で購入するよりも、有効で、経済的にも負担が少なくなります。

関連記事自治体などのAED補助金・助成金データ【AEDの価格で悩んでいる人向け】

AEDマップなどで調べて、自宅周辺にAEDが設置されていないのならば、自治会などでの購入を提案してみてはいかがでしょうか。

全国AEDマップ/日本救急医療財団

家庭用AEDの基準は価格

戸建の住宅に設置するにしろ、マンションなどの集合住宅に設置するにしろ、自宅での心肺蘇生の頻度は、人の出入りが多い施設などと比べると低くなります。

費用対効果を考えると、なるべく価格の安いAEDを選ぶことが重要になってきます。

現在、一般用のAEDは複数の機種が販売されていますが、AEDの基本的な機能ではそれほど差があるわけではありません。基本的には安かろう悪かろうという機種はないのです。

ですから、家庭用にはまず価格の安さを基準に考えるべきです。

関連記事【購入前に要確認】AEDの価格を抑えて購入する方法とは?

まとめ

個人で家庭用のAEDを購入するのは、金銭的な負担が大きいものです。

できるだけ地域のAEDや補助金を利用して、複数の人間が利用できる仕組みを構築することが、結果的に多くの人の生命の安全につながります。

家庭用AEDを検討されている方は、こうした視点で考えてみてはいかがでしょうか。







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