AEDの電極パッドの貼り付けは、それほど難しいものでありません。
ただ救命講習を一度も受けたことがなければ、実際にできるかどうか不安になるかもしれません。
そんな人のために、AEDの電極パッド貼り付けについてまとめてみました。
電極パッドの基本位置
成人用電極パッドの基本的な貼り付け位置は、胸の左上と胸の右下です。左右は向かってのもの、救助する人から見た場合です。
左:鎖骨の下、乳頭(乳首)の上
右:乳頭(乳首)の斜め下
と覚えておくといいでしょう。
基本はイラストに従う
しかし、実際に電極パッドを使用する際には、それほど心配しなくても大丈夫です。
電極パッド自体に貼り付け位置がイラストで描かれているので、それを見て貼ればいいのです。
一般用のAED主要機種で確認してみましたが、全ての機種で電極パッドかAED本体にパッド貼り付け位置が描かれていました。
小児用パッドの貼り付け位置
少し注意が必要なのが小児(未就学児、6歳未満の子供)の場合です。
小児用パッドのイラストは、張り付け位置が胸部前面と背中になっています。しかし、日本救急医療財団監修の「救急蘇生法の指針2015」では、特定の位置が推奨されているわけではなく、成人と同じ貼り方でもいいと書かれています。
重要な点は電極パッド同士が触れ合わないことです。電極パッド同士が接触していると、心臓まで電気が流れなかったり、スパークする危険があります。
小児の場合には、成人と同じように貼ると、パッド同士が触れ合う可能性があるので、胸部前面と背中に貼ったほうが無難だということです。
パッドを貼る際の注意
パッドを貼る際の注意点はいくつかありますが、あまり細かいことまで注意したり覚えておく必要はありません。
実際にAEDを使用する場合にはそんな余裕はないでしょうし、いろいろ確認しながらやっていては迅速な心配蘇生が行えません。
知識として覚えておく程度でいいでしょう。
1. 肌に貼る
服の上から貼るのはNGです。
相手が女性の場合、躊躇するかもしれませんが肌に貼ることが大事です。
2. 肌に密着させる
パッドと肌の間に隙間が空いているのはよくありません。しっかりと貼りましょう。
3. 小児には成人用パッドを使用してもOK
小学生未満の子供には、小児用パッドを使用するのが理想ですが、小児用パッドがなければ成人用パッドを使用しましょう。
その場合、パッドが触れ合わないように注意が必要です。
4. 傷病者の体が濡れている
パッドが貼れない・電気が流れるという問題があるので、タオルなどで拭いてからパッドを貼りましょう。
5. 貼り付け位置に湿布などの貼り薬が貼ってある
電気ショックの効果が弱まったり、火傷を起こす可能性があるので、貼り薬を剥がし、肌に残っている薬も拭き取ってからパッドを貼ります。
6. ペースメーカーやICDが植込まれている
ペースメーカーやICD(植込型除細動器)が体内に植込まれている場合には、胸に出っ張りが出ているので、それを避けるようにしてパッドを貼りましょう。
7. 小学生以上には小児用パッドを使用しない
AEDの小児モードは未就学児を対象としているので、小学生も成人用のパッドを使用します。
小学生以上に小児用パッドを使用すると電気ショックの力が弱く効果がない場合もあるので注意が必要です。
8. 傷病者が風呂やプールに浸かっている場合
風呂やプールから引き上げる必要がありますが、移動先の床が濡れていても、電極パッドが濡れなければ問題ありません。
9. 胸毛が濃い場合
パッドが貼りにくい・電気ショックの効果が弱まる・スパークで胸毛に着火するなどの恐れがあるので、除毛する必要があります。
AEDのキットの中に髭剃りがある場合はそれを使用すればいいのですが、ない場合はガムテープや予備のパッドを一度貼って剥がすという方法もあります。
10. ネックレスなどの金属
電気ショックの効果が弱まったり、最悪スパークする可能性もあるので、パッドに触れないように外しましょう。
救命講習でパッドの貼り付け位置を確認
パッドの貼り付ける位置に不安がある場合は、救命講習を受けてみることをお勧めします。
一度、パッドを貼る経験をすれば、その次からは問題なくできます。
小児(6歳未満)の場合のみ、パッドが触れ合わないような注意が必要なので、小学生未満の子供の心配蘇生をする可能性が高い人は、小児を対象とした講習を選択するといいでしょう。
小児を対象とした救命講習は消防署が行っています。